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執筆者の写真松本 啓嗣

『シェアド・コンテンツマーケティング(18)』フロー型メディアとしての機能。【前編】概要。


本来、コンテンツマーケティングはコンテンツを蓄積しながら資産としていくストック型メディアですが、シェアド・コンテンツマーケティングはフロー型メディアの一面も持ち合わせています。今回の記事では、なぜ、シェアド・コンテンツマーケティングがフロー型メディアとも呼ばれるのか、その機能面や特性からお話しします。この記事を読めば、シェアド・コンテンツマーケティングでは、どんなコンテンツを配信することが、より効果的なのかもわかるでしょう。


シェアドコンテンツメディア①:短期間で成果を上げるマーケティングの融合

主な内容

  • なぜ、メディアサイトを訪れるのか?

  • 機能的にはストック型メディア、性格的にはフロー型メディア

  • ユーザーは今ある何かを求めている

◇◇◇◇◇◇◇

■なぜ、メディアサイトを訪れるのか?

フロー型メディアについては、既にマーケの得ダネの中でも取り上げていますので、話が重複する点もありますが、今回はフロー型メディアで配信するコンテンツの特性に焦点を当て、シェアド・コンテンツマーケティングの有効性をもう少し詳しく見ていきます。

その前に、フロー型のメディアに関しては、以下の記事でも配信しています。ご興味がある方は、ぜひ、お読みください。

ところで、ユーザー(読者)は、なぜ、メディアサイトを訪れるのでしょうか?

サイトを訪れるユーザー目線になって、シェアド・コンテンツマーケティングを見てみると、また、別な角度から見えてくるものがあります。

  • そこに今感じているニーズを満たすものがあるから、あるいは、あると思われるから

つまり、ユーザーは「今、感じているあるニーズを満たして欲しい」、という目的を持ってサイトを訪れます。

その目的が、事業者が発信するさまざなツールや製品、サービスの情報で満たされるのであれば、ユーザーはすんなりとそのコンテンツに入っていきます。コンテンツを読んで、ますます興味や関心が高まれば、事業者のサイトを訪れたり、その会社に直接コンタクトを取ることもあるでしょう。

もし、ユーザーが、事業者のコンテンツ以外の別な目的でサイトを訪れたとすると、それは、そのメディアサイトそのもののコンテンツやサービスに興味や関心があるということになります。そのメディアサイトを訪れ、サイトを利用することで、ユーザーが今感じているニーズを満たしてくれると期待するからこそ、サイトを訪れます。

例えば、あるユーザーがメルマガを始めようとしていて、メルマガの始め方に関する詳しい方法を解説しているメディアサイトを見つけ訪れたとします。ユーザーの目的は「メルマガの始め方が知りたい」というニーズを満たすことです。そのニーズを満たすため、サイトを訪れコンテンツを読みます。

しかし、そのサイトには様々な製品やサービスに関する企業発信のブログがあることを知ります。しかも、それらのコンテンツは、サイトそのものの趣旨や内容はもちろんのこと、デザインや構成など、見た目にもサイトに融合していますので、そんなPRブログ(商材ブログ)があっても、特に違和感を感じることはありません。ユーザーの興味や関心を中断するものでも、あるいは邪魔するものでもなく、そこにあるのがごく普通です。

すると、その中に「開封率80%を実現したメーリングシステム:お客様の声」という、ある事業者のPR(商材)ブログを見つけました。そのタイトルからも感じ取れると通り、今の自分のニーズとも近いところにあるので、ついついその事業者のPRブログも見たくなります。

また、特にメルマガに関する事業者のPRブログがなかったとしても、色々な事業者が発信するRPブログ集がそこにあることを知ると、ちょっと覗いてみたくもなります。その中で、何か気になるものや興味や関心を惹かれるものがあれば、その内容やその事業者のことをもっと知りたくもなります。

このように、どんなユーザーも最初は、必ずある何かの目的を持ってサイトを訪れます。その目的は今感じているニーズを満たすことです。

しかし、そのニーズと関連するもの、あるいは近いところにあるものにも、興味や関心を示します。

フロー型メディアで大切なことは、そんなある目的を持ってサイトを訪れた人たちを、一瞬で惹きつけるコンテンツを配信することです。

 

■ユーザーは今ある何かを求めている

ここで大切なのは、事業者のコンテンツとしてどんな情報を提供していくかです。

もし、事業者が発信しているコンテンツが、サイトを訪れたユーザの目的ではない場合、あるいは目的と直接マッチしないのであれば、そのユーザーにスルーされてしまうかもしれません。しかし、そのユーザーはそのサイトを訪れています。その事業者のコンテンツを目にすることができます。見方を変えれば、直接の目的ではなくても、そのユーザーを自社のコンテンツに惹きこめるチャンスがある、ということです。シェアド・コンテンツマーケティングのメリットは、事業者のコンテンツが直接の目的であればもちろんのこと、仮にそうでなないとしても、コンテンツに惹きこもむことができる点です。上手にコンテンツを作成して、ユーザーを惹きこむ工夫をして下さい

実は、ビジネスブログを求めてメディアサイトを訪れたユーザーの中にも、ビジネスに役立つツールや製品、サービスの情報を知りたいと思っている人はたくさんいます。つまり、第一義的な目的は、ビジネスブログなどで何か知りたいニーズを満たすことであっても、そのニーズに近い、あるいは関連するツールや製品、サービスに興味や関心がある、という人も多くいます。シェアド・コンテンツマーケティングの狙いの一つは、そんなユーザーにもメッセージを届け、できれば掴んでいくということでもあります。

逆にシェアド・コンテンツマーケティングでは、従来のコンテンツマーケティングのように、じっくりと読み込むビジネスブログは必要ありません。そのニーズを満たすのはコンテンツを配信する事業者の役割ではなく、サイトを運営する者の役割です。

シェアド・コンテンツマーケティングで、ユーザーが各事業者に求めるのは、その時々のユーザーのニーズにマッチする、あるいは興味や関心を惹く、比較的タイムリーな話題の商材(製品やサービス)のコンテンツです。ナレッジベースではなくプロダクトベースです。どうしても、ビジネスブログに誘導したい、あるいはビジネスブログを読んでもらいたい場合は、リンクなどで自社のコンテンツマーケティングへの動線を作るといいでしょう。

ところで、ユーザーがメディアサイトを訪れる目的は、今、感じているあるニーズを満たすためです。この点は既にお話した通りです。

そして、実際にサイトを訪れ、そのニーズが(ある程度)満たされたユーザーは、さらに自分のニーズとも関連する、あるいはそこから自然と違和感なく入れる

今ある何かも求めています。

「こんなツールがあるんだ」

「この会社がこんな事始めたのは知らなかったなぁ」

「えっ、ユーザーが100,000人を突破したって!」

「こんな会社も使っているのか」

「前々からずっと言ってたけど、遂に新製品発表したんだ」

「こんな機能があるのって知らなかったなぁ」

「あれっ、こんな使い方もできるんだ」

「えっ、期間限定、先着100社で無料で使えるって!」

「なんだって、今度のバージョンは処理能力が今までの4倍だって!」

「こんな事例もあるのか」

「えっ、あの人も使っているんだぁ!」

「開発にはこんな苦労もあったんだなぁ」

「今度の東京フォーラムのインベントにも出展してるんだ」

「モニター募集かぁ」

「あの会社、こんな社長だったんだぁ」

・・・

「あれあれ」、「なんだなんだ」、「へぇ・・・」と思わせるような記事を、タイミングよく、事あるごとに公開していけば、ユーザーの目に留まることが多くなります。

 

■機能的にはストック型メディア、性格的にはフロー型メディア

シェアド・コンテンツマーケティングも従来にのコンテンツマーケティングと同じくブログです。事業者が発信するそれぞれのコンテンツはGoogleにもインデックスされ、ウェブ上にもどんどん蓄積されます。検索エンジンでも検索対象となるウェブ上の1ページです。そのため機能的にはストック型メディアと言えます。

しかし、配信するコンテンツは、前のセクションでお話した通り、どちらかというとタイムリーで適時性が求められる話題に向いています。つまり、発信コンテンツの性格的にはフロー型メディアに近いと言えます。

機能的にはストック型メディア、しかしその性格はフロー型メディア

この点がシェアド・コンテンツマーケティングの特徴でもあり、面白い点です。また、その特性を活かした利用価値がありそうです。

ここで、ストック型メディアとフロー型メディアの特性をまとめておきます。

◆ストックツ型メディア

 機能の特性

  • コンテンツを蓄積しながらメディアを構築できるメディア。【例】ブログなど。

  • オウンドメディア(サイトを構築して配信するコンテンツに向いている)

 コンテンツの特性

  • 資産性が高い

  • 検索型(検索エンジンからの流入に適している)

◆フロー型メディア

 機能の特性

  • コンテンツが流れる(フローする)メディア。【例】Twitter、Facebookなど。

  • アーンドメディア(共有型メディアでのコンテンツ配信に向いている)

 コンテンツの特性

  • 適時性(タイムリー性)に向いている

  • 拡散型(情報発信者およびそのフォロワーなどにより拡散される)

この比較を見ても、シェアド・コンテンツマーケティングは、機能的にはストック型メディアに近く、コンテンツの特性(メディアの性格的)にはフロー型メディアに近いのがよくわかります。また、同時にこの2つをうまく兼ね備えているメディアとも言えます。

あえて特性として弱い点を挙げると、ストック型メディアの資産性とフロー型メディアの拡散型です。コンテンツそのものはウェブ上に蓄積されメディアサイトの資産を形成しますが、各事業者の自社サイトの資産形成にはなりません。直接的に自社サイトを育て強化したい場合には向いていません。また、一定の拡散力はあるものの大手ソーシャルメディアサイトの拡散力には及びません。拡散力を高めるには、それらSNSを活用すると効果的です。

さて、貴社なら、これら2つのメディアタイプの機能や特性を兼ね備えたシェアド・コンテンツマーケティングを、どう活用しますか?

できれば、これまでのシェアド・コンテンツマーケティングの記事のシリーズも読み返して、考えてみて下さい。特に、資金などのリソースが限られるスモールビジネスの事業者には、今あるリソース中で有効にマーケティングを行うことが求められますので、何かヒントを掴む手掛かりにもなるはずです。

新時代のビジネスのキーワードは「シェア」です。シェアすることで貴社のマーケティングパワーを倍増させるチャンスがあります。

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